暮らしかたらぼ的「掃除・片付け」の考え方
掃除や片付けは単に「捨てる」「残す」だけではありません。そのご家族が今どんなライフステージにいて、これからどんな「コト」をしていきたいか、そのためにどの「モノ」が必要かを整理する。それこそが真の掃除・片付けだと考えています。一般的に見て「捨てた方がいいモノ」も、その家族がこれから向かう「コト」に必要ならば、そのためのモノは残すべき。それを私たちが一緒に整理していきます。
たとえばある家庭では、ワッフルを焼く機械を捨てるべきか残すべきか迷っていました。聞くと「結婚した当初、朝ごはんをこれで作ろうと思ってたのに忙しくてできなくて」とのこと。バルコニーでワッフルを食べたいからと、バルコニー用の椅子とテーブルセットも買っており、そのどちらも使われていませんでした。お客様が「やっぱり捨てた方がいいですよね」とおっしゃったので「これを捨てると、朝ワッフルを焼いてバルコニーで食べるという行動はなくなりますけど、それでいいですね?」と確認しました。すると「やっぱりやりたい」と。私も、じゃあ残しましょうよと。それとは別に、会社のビンゴ大会で当たったパン焼き機があったんですけど、それは捨てることになりました。ご本人のテンションが上がるものではなかったからです。
大事なのは「捨てること」ではなく、ご自身のセルフイメージを下げず、かつ仕事や子育ての時間配分がそのプランに合うかを計算し、何を削ぎ落して何を大事にするかを明確にすることです。ある意味自分探しや家族の在り方を見直す機会でもあります。
お客様の要望とは違うアプローチを提案することもあります。以前、義母と二世帯で暮らす女性から、こんな相談をうけました。「キッチンを共同で使うことが多く、義母が使っていない古い器やコップを捨ててくれなくて困っている」と。それに対して私は「モノの価値は人それぞれに違うから、捨てさせることはできない。自分のモノ以外を捨てさせるのは諦めた方がいい」と伝えました。その代わり、いい方法がありますと別の提案をしたんです。それは「まずは家をお掃除する」こと。モノの整理は一切せずに、キッチンやその周辺をぴかぴかにするんです。モノを捨てられて嫌がる人はいますが、ぴかぴかになるのを嫌がる人はいません。そしてお嫁さんと私たちで徹底的にお掃除をしたところ、お義母さんの方から「これは捨てた方がいいかしら」と相談してくださりました。キッチンがきれいになることで、気持ちが変わったんですね。
「掃除屋」ではなく、お客様の人生に寄り添っていく
そうやって、それぞれのご家族と密なお話をさせていただくことが多いので、関係性も親戚のおばちゃんのようだったり、家族の一員のようになっていくこともしばしば。ヒアリングやお掃除で一旦状態を作り込んだ後、定期清掃で入ることが多いのですが、その際に「この方はマグカップをよく使うから、取りやすいところに置いておこう」とか「そろそろお子さんの服がサイズアウトするな」とか、スタッフやご家族とこまめにやりとりをしながら、健やかな暮らしをサポートします。ご家族より私たちの方がわかっていることも多いんですよ。
お客様からは「これからたくさんの方を幸せにする仕事だと思う」「やっていることは教育産業だ」という声もいただいています。これからも、自分が当時ほしかったサービスを、お客様とスタッフとともに、より良いものに作り上げていきたいと思っています。